アイランズモルトの中でも高い評価を得ているウイスキーの一つにタリスカーがあります。
「宝島」「新アラビア夜話」「ジキル博士とハイド氏」などを書いたエディンバラ生まれの小説家、
ロバート・ルイス・スティーブンソンが『酒の王はタリスカー、アイラとグレンリベット』と1880年に評したことでも有名です。
今回はそんなタリスカー蒸留所の特徴や背景、ラインナップをご紹介していきます。
タリスカー蒸留所の場所は?
タリスカー蒸留所はスコットランドのインナーヘブリーズ諸島という島々の最も北方に位置する「スカイ島」という場所にあります。
また空を意味する「sky」ではなくスペルは「skye」となっており、古代ノース語で「翼の形をした島」にちなんでいると言われています。
気候は非常に変化しやすく、そして霧が多く「霧の島」と別名で呼ばれていたりもします。
タリスカーの歴史
タリスカーはヒュー・マカスキルとケニス・マカスキルという兄弟が、
1830年にスカイ島のカーボストというところに創業したことが始まりとなっています。
(引用:https://talisker-online.jp/about/story.php)
しかし1843年に資金繰りに詰まったマカスキル兄弟は破産してしまいます。
そして蒸溜所は北スコットランド銀行のジャック・ウエストランドに管理が置かれることとなりました。
そしてドナルド・マクレナンに売却されますが、これ以降はオーナーが目まぐるしく変わっていきました。
結果として1925年にDCL(現在のディアジオ)がタリスカーを手にしたことで落ち着いています。
1928年に3回蒸留を廃止して2回蒸留に変更を行います。
1960年には大きな火災があり、蒸留塔など多くの建造物を失い生産停止など危機的状況に陥ります。
しかし、当時のスタッフ達の頑張りによりなんと2年後の1962年には生産を再開します。
またこれ以降には新しくオリジナルのポットスティルを作製したりもしています。
タリスカーのラインナップ
タリスカーのラインナップは非常に多いわけではありませんが、
比較的制覇しやすい数と言えます。
各種類のタリスカーを要点をつまんでご紹介いたします。
タリスカー 10年
スタンダード品に当たる1本。
アメリカンオーク製のリフィルのバーボン樽で10年以上熟成させた原酒が使用されています。
アルコール度数は45.8度、潮の香りとスモーキーな香りがあり、
味わいはモルトの力強さと柔らかな甘み、そして黒胡椒のようなスパイシーさが伴います。
このスパイス感に病みつきになる人は数しれず。
タリスカー 18年
アメリカンオーク製のリフィルのバーボン樽、
ヨーロピアンオーク製のリフィルのシェリー樽、
これらの樽でそれぞれ18年以上の熟成を経たものをバーボン樽:シェリー樽=7:3でヴァッティングして作られています。
熟成期間が伸びたことでまろやかさが増し、そしてフルーティ香りが引き立っています。
タリスカーの特徴とも言える黒胡椒の雰囲気が絶妙なバランスに変化しており、
飲んだ後の余韻にもアクセントとして長く残ります。
おそらく18年の虜(とりこ)になっている人も非常に多くいると思います。
完成度が高く、タリスカーといえば18年が1番!という人がいるほど。
2007年のワールド・ウイスキー・アワーズで見事世界1位の座を獲得したウイスキーでもあります。
タリスカー 25年
アメリカンオーク製のバーボン樽にて25年以上の熟成期間を経たもの。
長期熟成樽の安定供給が可能になり始めたことで年に1度のリリースをしています。
(以前は不定期でスペシャルリリースシリーズとして販売されていました。)
落ち着いた潮の香り、そして力強いスモーキーさは健在。
長期熟成による濃厚な味わいが楽しめます。
かすかな苦味と、スモーキーさとが調和した長い余韻に浸ることもできます。
タリスカー 30年
こちらも25年同様に安定供給による年1のリリースです。
30年という熟成期間のため、比較的香りは落ち着いた印象があります。
柔らかな飲み口に、円熟味を帯びたまろやかさ、
そしてスモーキーさとモルトの甘さ。
これらの絶妙なバランスを楽しむことができます。
タリスカー ストーム
ストームと名前にある通り、スカイ島の厳しい気候を表す「嵐」がコンセプトとなっています。
味わいはまさに弾けるブラックペッパー!!
際立ったスパイシー感があり、スモーキーさも勿論存在します。
また後に引くモルトの甘味がふわっと感じられて、優しい一面もあります。
タリスカー ポートリー
スカイ島の港町ポートリーの名前を冠した商品。
アメリカンオーク製のバーボン樽で3年以上の熟成を経た原酒をヴァッティング、
その後にポートワイン樽で後熟したものです。
ポートワイン樽由来のフルーティなベリー系の味わいに加えて、
タリスカー本来の黒胡椒や、潮の雰囲気があります。
タリスカー 57° ノース
57°の意味はタリスカー蒸留所が北緯57°にあることが由来で、
それに合わせてボトリングの度数も57度で行われています。
もともとは免税店向けでしたが、好評につき世界各国で販売が開始されました。
高い度数による濃厚さ、そして強い味わいが如実に感じられる1本となっています。
タリスカーを存分に楽しみたい方は試してみると良いでしょう。
タリスカーのラインナップにも多様に楽しめる点がありますね。
人気度で言えばやはり18年ものが非常に高く、そして18年から飲んでみたほうがいい!
とおっしゃる人もいるくらいです。
気になったものから試してみて、そこから他のものに手を伸ばしていくと良いでしょう。
気に入ったボトルが見つけられたら幸いです。