アイランズ

戦時中は兵舎になった蒸溜所?スキャパの特徴・ラインナップ・蒸溜所の背景をご紹介!

Scapa bottle

バイキング文化が色濃く残るオークニー諸島では、ハイランドパーク蒸溜所だけではなく、
スキャパ蒸溜所も稼働している事で有名です。

そして「スキャパ」はバイキングの言語であるノース語で「ボート」を意味しています。

また、このウイスキーはかのバランタイン17年のキーモルトとしても使用されており、
バランタイン魔法の7柱」の一角を担っているシングルモルトの一つでもあります。

スキャパ蒸溜所の場所

スキャパ蒸溜所はスコットランドのオークニー諸島に存在しています。

オークニー諸島の中のメインランドにあり、都市カークウォールから南へ数キロ行ったところに位置していますね。

蒸溜所が面している湾をスキャパフロー(スカパフロー)と呼び、
一次、二次の世界大戦において重要な役割を果たしました。

地形としてこの湾は各種島々に囲まれている為、戦争時の港として利用するにはうってつけでした。

そして戦時中はイギリス海軍がここを拠点として活動していた記録があります。

また、第一次世界大戦中には蒸溜所が英国海軍将校達の兵舎として利用されており、
英国海軍が建物内の一部の木造階段を作った痕跡が遺されています。

スキャパフロー(1942年)
(引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Scapa_Flow)

第一次世界大戦時、休戦協定の条約に基づいてスキャパフローにはドイツ帝国軍の大洋艦隊が数多く抑留していました。

戦争の講和条約が決定した後、
ドイツ軍の指揮官であったルートヴィヒ・フォン・ロイターは自国の艦隊が連合国軍に分配される事を危惧して全艦隊に自沈を命じることに。
そしてスキャパフローでは1919年6月21日に74隻中52隻が沈みました。

その後船達はサルベージされますが、
今現在も沈んだままの船はダイビングスポットとなっているそうです。

スキャパの歴史

スキャパ蒸溜所は1885年にジョン・T・タウンゼントとマクファーレンという人物達が創設した所から始まります。

1887年に一度解散をしてからJ.T. Townsend & Co.として会社を組織した後に蒸溜所を継続させることになりました。

そして1919年に火災を受けて蒸溜所は大ダメージを被ってしまいます。
その後再建をScapa Distillery Co. Ltd.として行いました。

1936年にグレンスコシアも所有していたブロッホ兄弟によって蒸溜所が引き継がれ、
約20年近く彼らの元で操業されることとなります。

Scapa
(引用:https://www.scapawhisky.com/)

しかしながらブロッホ兄弟のビジネスはブレンドを基盤に行うモノであった為か、
蒸溜所ビジネスには中々馴染むことができず、
1954年にハイラム・ウォーカー社に売却することを決定します。

1959年、珍しいローモンド型スチルが導入されることに。
また、元々ブロッホ社の子会社であったテイラー&ファーガソン社がスキャパ蒸溜所の稼働を任されます。

その後1978年、石炭による加熱から蒸気加熱へと変更しました。

1987年にはアライド・ライオンズ(現在のアライド・ドメク)がハイラム・ウォーカー社を買収します。

しかし残念ながら1994年に蒸溜所閉鎖を余儀なくされてしまいました。
なお、1997年からは設備の維持のためにハイランドパーク職員が蒸留を行なっていました。

2004年にアライド社が大規模な設備の改修と増強を実施し、
200万ポンドをかけて再建。操業を開始しました。

2005年、アライド・ドメクがペルノ・リカール傘下になり、現在に至ります。

Scapa distillery
(引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Scapa_distillery)

スキャパのラインナップ

日本におけるスキャパの正規輸入品は1種類しかなく、
それ以外の種類は並行輸入品でしか購入することができません。

また、並行輸入品含めて現在販売されているラインナップも2種類と数が少ないです。

スキャパ スキレン

現在唯一正規輸入されているスタンダード品です。
原酒不足によって終売になったスキャパ16年の後にリリースされました。
ファーストフィルのバーボン樽にて熟成した原酒が使用されています。

香りは新鮮な洋梨やヘザー(花)、バニラのようで、
口に含むとじんわりとドライフルーツや麦芽のような落ち着いた甘みが味わうことができます。

加水をすると香りや味わいが大きく華やかに変化する特徴も持っています。

スキャパ グランサ

イギリス国内向けにリリースされている1本です。
スキレン同様、スキャパ16年の終売後に発売されました。
日本では並行輸入品として手に入れる事が出来ます。

バーボン樽で熟成した原酒を、ピーテッドウイスキーを熟成していた樽に詰めてさらに熟成したものです。

熟成した洋梨やバニラの香りがあり、
味わいはヘザーの花と蜂蜜の甘さ、そしてほのかにスモーク感があります。

スモーク感がガンガン効いてるものではないので、
スモーキーなウイスキーの初手に良いかもしれませんね。

 

 
個人的にスキャパは加水をして飲んでみると大きく化ける印象がありますね。
潜在的な能力が解き放たれる・・・と言っても過言ではないと思います。

またスキャパ蒸留所の公式インスタグラムでは蒸留所の風景が多数アップロードされているので、
それらの素敵な景色を眺めつつグラスを傾けてみるのも一興です。

↓スキャパ蒸留所の公式インスタグラムアカウントはこちら↓
https://www.instagram.com/scapawhisky/

興味があればぜひお試しください。