スペイサイド

政府公認第1号の蒸留所!ザ・グレンリベットの特徴・ラインナップ・蒸留所の背景をご紹介!

ザ・グレンリベット アイキャッチ

ゲール語で「静かな谷」を意味するグレンリベット。

この蒸留所は密造酒として始まりましたが、その後政府公認の蒸留所の第1号としても有名です。

本記事ではグレンリベットの特徴からラインナップ、そして蒸留所の背景をご紹介いたします。

グレンリベットの場所は?

グレンリベット蒸留所はスペイサイド地方にあり、豊かな水源と清涼な空気に包まれています。
地図で確認するとこの様になっています。
ザ・グレンリベット 地図
(引用:google map)

グレンリベット蒸留所の歴史

グレンリベット蒸留所はジョージ・スミスが1824年に政府から認可されたことが始まりと言われています。

認可された前年の1823年に酒税法が改正され、その時の法律の下における第1号の蒸留所でした。

また、蒸留所の公式では1824年をグレンリベット蒸留所の設立年としていますが、
実際にはそれ以前にも密造酒として蒸留を行っていました。

しかしながら、ジョージ・スミスの成功に対して妬む同業者、そして密輸業者から命を狙われることも。
そのため護身用の2丁のピストルを肌身離さず持ち歩いていたのだとか。
ザ・グレンリベット ピストル
(引用:https://www.theglenlivet.jp)
また、これ以降に政府認可の蒸留所が増えていく中で、
品質の高さと政府認可1号というのもあり「グレンリベット」の名前を勝手に使う業者が増え始めていました。

1859年に蒸留所の名前をザ・グレンリベット蒸留所に変更。

1871年にジョージ・スミスが亡くなりますが、息子のジョン・ゴードン・スミスが後を継ぎます。

そして勝手に「グレンリベット」の名前を使用している業者を排除するため、1880年に訴訟を起こしました。

1884年に勝訴し、本物の証拠であるという”THE”をつけることが認められ、これこそが本物の”THE GLENLIVET”となりました。
ザ・グレンリベット 文書
(引用:https://www.theglenlivet.jp)
この画像は実際に”THE”を名乗ることが認可されたときの書類です。

その後は吸収・合併を繰り返し、今現在ではペルノ・リカール傘下で操業を続けています。

ザ・グレンリベットのラインナップ

 

熟成年数表記があるクラシックなシリーズ

ザ・グレンリベットもまた数多くのラインナップを持っています。
最初に熟成年数表記があるものを中心にご紹介いたします。

ザ・グレンリベット 12年

スタンダード品に当たる12年熟成もの。
アメリカンオーク製のバーボン樽で最低12年の熟成を経た原酒をヴァッティングして作られた1品です。

しつこすぎない程度の甘い花のような香りとなめらかな口当たりが特徴的です。
モルト初心者にもおすすめできる味わいです。

ザ・グレンリベット 15年 フレンチオーク・リザーブ

アメリカンオーク製のバーボン樽及び、
ヨーロピアンオーク製のシェリー樽で最低15年以上の熟成を行ったそれぞれの原酒をヴァッティングし、
フランス産のリムザンオーク製の新樽で後熟を行ったものです。

リムザンオークはブランデーなどの熟成の際に多く用いられている樽材です。
木の密度が低いため、樽の中の酒が気に染み込みやすく樽の成分が早く出てくるようです。

フルーティな味わいとほのかなスパイシーさが特徴的です。

ザ・グレンリベット 18年

ファーストフィルのアメリカンオーク製のバーボン樽
セカンドフィルのアメリカンオーク製のバーボン樽
ヨーロピアンオークのシェリー樽
これら3つの樽で18年以上の熟成を経た原酒をヴァッティングして作られます。

(※ファーストフィル:シェリー樽やバーボン樽を中古の樽として一番最初に使うときのこと。セカンドフィルは2度目の使用という意味となります。)

熟した果実のような味わいとシェリー樽由来のスパイス感のハーモニーが楽しめます。

ザ・グレンリベット 21年

アメリカンオーク製のバーボン樽とヨーロピアンオーク製のシェリー樽で最低21年以上熟成を行ったそれぞれの原酒をヴァッティングしたものです。
15年のフレンチオーク・リザーブとは違い、後熟を行っておりません。

21年の長期熟成が与える長い余韻と木の香り、そしてリッチさが楽しめます。

ザ・グレンリベット ファウンダーズリザーブ

創業者であるジョージ・スミスが創業当時に考えていた理想的な製法・レシピを、
現在のザ・グレンリベット蒸留所のマスターディスティラー、アラン・ウィンチェスターが再現したものです。

経年のアメリカンオーク製のバーボン樽とファーストフィルのアメリカンオーク製のバーボン樽によって熟成されたものをヴァッティングして作られています。

年代表記はありませんが、きついアルコール感はなく飲み口がスムースな点は健在です。

ザ・グレンリベット ナデューラシリーズ

ナデューラとは、ゲール語で「自然な」を意味しています。

本シリーズでは、19世紀に楽しまれていたウイスキーのスタイルに忠実になり、伝統的な製法にこだわって作られています。

ノンチルフィルタードで、カスクストレングス(樽出し原酒)で瓶詰めされています。
そのためバッチごとで度数に多少の変化があり、大体は約60%です。

ザ・グレンリベット ナデューラ オロロソ

スペインのへレス地方で作られたファースト・フィルのオロロソ・シェリー樽のみで熟成されたもの。

ドライフルーツのような香りとフルーティな味わい、そしてチョコレートのような雰囲気もあります。

ザ・グレンリベット ナデューラ ファーストフィルセレクション

熟成にファーストフィルのアメリカンホワイトオーク製のバーボン樽が用いられたものです。
1900年代初頭からザ・グレンリベットの蒸留技術者達に好んで使用されのだとか。

バニラのような甘い香りとトロピカルな雰囲気が特徴的。

ザ・グレンリベット ナデューラ ピーティッド

通常の樽熟成を行った後、強いピートの効いたアイラウイスキーの古樽で後熟をしたもの。

現在のザ・グレンリベット蒸留所はモルトの乾燥工程にピートを使っていませんが、かつては行っていました。
スモーキーさが存在した昔の伝統ある味わいを引き出しています。

やわらかなスモーキーさとグレンリベット本来の柔らかな口当たりの調和が楽しめます。

 

 
グレンリベットの多数あるラインナップでしたが、どれも口当たり良いのが特徴と言えます。
スタンダード品の12年から始めてみて、自分に合いそうであれば縦飲みとしていろいろなものを試してみると良いでしょう。