スペイサイド

創業者一族が今なお経営を続けている蒸留所!グレンファークラスの特徴・ラインナップ・蒸留所の背景をご紹介!

glenfarclas 10years

スペイサイド地域で作られるモルトのイメージにしては結構力強い味わいを持つグレンファークラス。

かつての英国元首相サッチャー女史が愛飲していたものもある1本。

今回はグレンファークラス蒸留所の背景や歴史、ラインナップについてご紹介致します。

グレンファークラス蒸留所の場所

グレンファークラス蒸留所はスペイ川中流域にあり近くの蒸留所にクラガンモアやダルユーインなどがあります。
地図で確認するとこのようになっています。
グレンファークラス 地図
(引用:google map)
また、ベンリネスの山の近くでもあり、仕込み水にもベンリネス山の泉が使用されています。

グレンファークラスの歴史

グレンファークラスは、1790年代に既に蒸溜が行われていたことが記録として残っています。

その後の1836年にロバート・ヘイという農夫が事業会社として正式に設立しました。

しかし1865年にロバートは亡くなってしまいます。
そして蒸留所はジョン・グラントと息子のジョージ・グラントという近隣の農場主が借地権も含めて購入しました。
ジョン、ジョージ・グラント
(引用:https://glenfarclas.com)
グラント親子は蒸留所を購入するもすぐにジョン・スミスへとリースし、実際の運営はジョン・スミスがしていることになりました。

1870年、ジョン・スミスは自分で設立したクラガンモア蒸溜所の運営に力を入れるためグレンファークラスからは手を引き、
グラント親子はJ&Gグラント社を組織、蒸溜所の直接運営を始めることとなりました。

1889年にジョン・グラントが、立て続けに1890年ジョージ・グラントも死去してしまいます。
蒸溜所はジョージ・グラントの妻のエルシーが運営権を相続し、彼女の2人の息子ジョンとジョージが運営することとなりました。

その後の1895年、ジョンとジョージが蒸溜所のオーナーに就任します。
そして同じころにパティソン・エルダー社と共同でグレンファークラス-グレンリベット・ディスティラリー社を組織しました。

しかし1898年パティソン・エルダー社が破産!もちろんグレンファークラスも資金難に直面します。が、ストックのウイスキーを売却や担保にしたりして破産を回避しました。

1914年にジョンが病気のため引退、1949年にジョージが死去します。
息子のジョージ・スコット・グラントとジョン・ピーター・グラントが蒸溜所を受け継ぐこととなりました。

1960年、生産量を増やすためポットスチルを2基から4基へ増設します。

そして1968年、カスクストレングス(いわゆる樽出し原酒)のシングル・モルトを発売を開始します。
ちなみにカスクストレングスを売り出したスコットランドで初めての蒸留所でした。
そしてこれは後々、グレンファークラス 105へ相当するものになります。

2002年にジョージ・スコット・グラントが亡くなり、ジョン・L・S・グラントが後継者となりました。

 

歴史を見てわかる通り、グラント一族が1870年頃からずーっと経営をやりくりしつつ前に進み続けているのがよくわかりますね。
その時の商売の状況や、経済状況で蒸留所のオーナーが創業者の手を離れることがほとんどの中、グレンファークラスは一族の力で現代まで引き継いでいくという力が感じられます。

グレンファークラスのラインナップ

グレンファークラスもまた、いろいろな年数でボトリングされており、
熟成年数ごとに楽しみやすいラインナップとなっています。

グレンファークラス 12年

スタンダードに当たる1本。

シェリー樽熟成由来の味わいと、パワフルなコシのある味わいが楽しめます。

値段も3000円前後で購入可能(2019年現在)で、コストパフォーマンスもかなりいいです。

ぜひお試しあれ。

グレンファークラス 8年

最も酒齢が若い8年熟成の物。

どちらかというと12年物がスタンダードであるため、
個人的には12年を飲んでから試したほうがより楽しめると思います。

グレンファークラス 10年

ラインナップの中で次に酒齢が若い10年物。

これも8年熟成同様、12年熟成を試してからでもいいと思います。

グレンファークラス 15年

15年熟成もの。ここら辺からお値段が5000円を超えてきます。

もともとある重厚さが15年の熟成期間でバランスが取れており、食後にまったり飲むのに適していると思います。

グレンファークラス 17年

17年以上の熟成を経た1本。

お値段も結構お財布に打撃が来そうな酒齢ですが、ネットでうまく最安値を買えば酒齢の割に安く手に入ることも。

17年の長期熟成に突入する味わいが気になる方はぜひお試しを。

グレンファークラス 21年

21年以上熟成した長期熟成たる1本。

熟成を経たまろやかな味わいとシェリー樽由来の甘い香りがやみつきになりそうな雰囲気があります。

お値段も1万円前後でかなりお買い得じゃないかなと思います。

グレンファークラス 25年

25年以上熟成の長期熟成もの。

25年という時間を噛み締めながらまったりと飲んでみたい1本。

お値段を考えるとこれ以上の酒齢のものはお祝い事とかイベントの時とかが・・・いいかのもしれませんね。

グレンファークラス 105

冒頭でチラッと触れた、グレンファークラス105。

これはカスクストレングス、いわゆる樽出しの原酒のままで加水をしてないものになります。

元英国首相サッチャーさんが愛飲していたものです。

105の意味は105プルーフを意味しており、アルコール度数にすると60度にも。
(英国式のプルーフ表記なので105×1.751=59.965…≒60)

度数は高いですが、シェリーの濃厚な香りがギュッと凝縮されており、シェリー樽熟成好きにはたまらない一品となっております。

コスパも3000円~4000円台で非常に良く、リピートする方も多いと聞きます。

鉄の女が愛した1本、ぜひお試しください。

長期熟成のグレンファークラス

さくっとグレンファークラスのラインナップをご紹介しましたが、長期熟成のものに関しては実はまだあります。

そう、もちろん30年や40年ものが存在します。
グレンファークラス 30年・40年
(引用:https://glenfarclas.com)
包装に使われている赤い箱は「レッドドア」と呼ばれており、

グレンファークラスの熟成庫のドアをデザインしたケースになっています。
熟成庫のドアはこちら。
グレンファークラス 熟成庫ドア
(引用:https://glenfarclas.com)
ボトルの方の画像はケースが開いててわかりにくいですが、赤色で似ているのがわかりますね。

しかしながら30年以上の長期熟成は5万円や10万円を超えてしまいます。もう手が伸びない代物ですね。
お金がある方、是非感想を教えて下さい、筆者が喜びます。